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中国人の入国が増えたというデマ

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おはようございます。高橋ひろしです。

外務省では「新型コロナウイルス感染防止に係る上陸審査の状況」を開示していますが、このデータを元にしたデマが飛び待っています。

 

入国禁止を拡大した4月3日以降の成田空港

日本では4月3日より特別永住者等を除く外国人の入国拒否をする国を従来の27カ国(一部の地域だけ対象になった韓国と中国を含む)から73カ国に拡大しました。日本と中国を結ぶ旅客便はほぼありませんが、アメリカ便などは平常に近い運行をしている路線も少なくありません。

4月3日以降に入国する人は。日本人を含めて全員がPCR検査。成田空港では、自衛隊の応援も入り、飛行機から降りるのも一人ずつという徹底ぶり。検査結果が出るまで1~2日かかるので、入国審査後には簡易ベットが置かれていて検疫で要待機と判断され待機用のホテルがない人はそこで陽性と判明するまで待機させられますし、要待機ではない人も係員か自衛隊が迎えの人の車に乗るまで確認する徹底ぶりです(電車やタクシーの利用はできない)。こうした徹底ぶりをマスメディアでもっと報道しても良いかと思います。

 

 

デマになった元データ

このデータは審査の対象になった人と上陸許可された人の速報値です。2日までは2桁だったのが3日から3ケタに急増しています。

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http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/20200205.html より引用

 

 

ここのデータでのデマ情報は、4月3日以降に中国人の入国が急増しているという話です。このデータは外国人すべてが対象ですので、そもそも中国人に限りません。 それにも関わらず、中国人を入れているとは何事だ!と騒ぐのです。 中には、このデータをもって「これは全員中国人であり医療目的で来ている!」とか「羽田空港では毎日300人の中国人が入国している」と話をすり替える人もいます。 現在、中国からの飛行機は毎日飛んでいますし、そもそも羽田空港には着陸できません(中国便と韓国便は成田空港と関西国際空港のみに限定されています)。

 

国の政策と飛行機情報だけでも十分わかる

この数字は非常に単純な話です。27カ国から73カ国に拡大したことにより、そもそも対象となる人が増えたのです。そして、その多くは各航空会社の人たちです。特にアメリカとカナダは通常運行している便もあり、今回飛行機が毎日複数便飛んでいるアメリカが対象になったことで、一気に増えました。この程度は国が発表している政策や飛行機の情報だけでも十分わかることです。

 

詳細は公開情報ではないため、自民党関係者によると「航空会社関係者が7割ぐらい。中国国籍の人は毎日30名程度だろう」とのことです。

この30名でも中国国籍の人が増えたのは、4月2日までは中国からの対象者はごく一部地域だけだったのに、3日以降は飛行機が飛んでいる北京、上海、ハルピン、大連などが対象になったからです(乗客はほぼいないでしょうが、貨物運送とスロット(発着枠)優先確保のため運航中だと思われます)。

 

ちなみに3月の訪日速報値では、いままで首位キープだった中国人も激減し、1位はアメリカ人の約2万3000人(同年比87%減)。中国人は98.5%も減少して約1万400人で5位となっています。

 

国が丁寧に説明しない理由

国はこういったことを丁寧に説明しません。これはなぜかといえば、毎回丁寧に説明してしまうと、国にとって都合の良い数値を使った資料(例えば今後の年金に関してなど)まで丁寧に説明してしまうと整合性がとれなくなってしまうからです。 それはそれで情けない話です。 それでもデマが大きくなったら追記するでしょう。

 

不安感は仕方ないが、きちんとした情報を知ろう

以前からの私のコラムを読んでいる方は、私が中国共産党政権に対しては厳しい意見を持っていたり、中国人とのビジネスや日常の習慣の差なども鋭く指摘していることを知っていると思います。その反面、ただ中国や中国人を叩きたいだけ、少しでも中国を擁護するような事を書くと「お前は在日だ」などと罵る人がいるのは、日本人として恥ずかしいと思っています。人間ですから、不安感からくる不信などは心理的に拭えないものですが、推測や議論するときは、きちんとした情報を得ることが大事です。

 

 

(8:00追記) 記事をアップするときに最新情報を確認したところ、情報が更新され「国際線の航空機の運航のために必要な乗員(クルー)」が記載されていました。

 

高橋 ひろし https://line.me/ti/p/@584zlqhm