茨城空港愛称「Tokyo」やめた
おはようございます。高橋ひろしです。
茨城県は訪日外国人客への知名度向上策として、有識者会議から茨城空港の海外向けの愛称案を「Tokyo Ibaraki International Airport」とする答申をから受けてましたが、「Tokyo」を外した「Ibaraki International Airport」に決めたと５日に発表しました。空港の正式名称は「百里飛行場」で国内向けの愛称は「茨城空港」と変更はありません。
有識者会議と政治家
３月下旬に航空専門家らでつくる県の有識者会議では海外セールスの強化になるとして「東京」を冠した４案など計６案を提示。５月末には全員一致で「Tokyo Ibaraki International Airport」に決めましたが、大井川和彦知事は「反対の声を押し切ってまで『東京』を付けるメリットはないと判断」しました。
これは、有識者会議はあくまでも提案であり、政治判断とは関係がない事がよくわかる事例です。よく政治家が「有識者会議の意見をもって・・・」などと発言しますが、有識者会議では政治判断は行わず、ぞれぞれの専門的な見地から意見を出し合うものです。最終的に判断するのは政治家です。
有名な都市名を複数の空港が使用する事は日常的
有名な都市名を複数の空港が使用することはよくあることです。たとえば「パリ」と言えば、大きな国際空港だけでもシャルルドゴール空港とオルリー空港があります。その 他に大型旅客機が発着可能なル・ブルジェ空港（現在定期便はありません）など、複数の空港が「パリ」という愛称を使います。 韓国（ソウル）や台湾（台北）、トルコのイスタンブールなども同じ都市名称で国際空港が２つあり、イスタンブールなどはバスで４時間かかるほど離れています。 東京も、羽田と成田と２個所が使っていますので、茨城空港が含まれてもおかしくはないのです。
専門家や海外渡航経験者と空港を利用しない人の感覚は違う
Tokyo(HND)、Tokyo(NRT)と区分していますので、ここに茨城が入ってTokyo(IBR)と区分されることに何ら問題はなく、有識者会議では茨城空港の強化につながると考えたのでしょう。
私は海外渡航も多いので、こういった感覚はよくわかりますが、海外渡航にあまり行かない人や地元の人には戦略を説明しないと伝わりません。茨城県はパブリックコメントを募集していましたが、有識者会議では、こういった世界戦略があり茨城の活性化につながる案であることをきちんと示さないともったいないです。
最終的に決断するのは専門家ではなく政治家
そうした有識者の意見があったにも関わらず、最終的に政治家として判断をしたことは正しい行動でもありますし、有識者会議と政治家が対立しているわけでもありません。特に形だけパブリックコメントを実施して多数の反対意見を無視し、強行突破する場合が多い中、方針転換を実施したことは非常に良かった事例となりました。
長期的な戦略の必要性
ここから先は私の考えですが、仮に「Tokyo Ibaraki International Airport」にする場合、例えば成田空港や東京駅、羽田空港と直通の交通機関がないと戦略としてもったいないでしょう（茨城空港＝東京のバスがありましたが現在廃止）。私個人的な意見として、特に成田空港と茨城空港を結ぶ直通電車があり、お互いに別ターミナルのような感覚で利用できれば、双方ともに国際競争力がぐんとあがるでしょう（この戦略は中国北京空港が採用しています）。
また「Ibaraki International Airport」に決めたのであれば、国際的に茨城という名前をどうアピールして航空会社を誘致していくのか、もしくは国内で企業誘致や観光誘致をしていくのか、そういった戦略が必要です。 例えば、２００４年まで「新東京国際空港」だった成田国際空港。国内では都心まで時間がかかって不便と言われていましたが交通網を整備し、乗り換え時間が多い外国人には成田市内の観光券を提供したり、東京と名前がついている最中に成田の名前を積極的にアピールし、成田という名前が世界で比較的通用するまで成長しています。 こういった事例を元に茨城空港も活性化を図るべきです。
議論ができる日本になろう
本来は、有識者にも政治家にも国民にも、こうした長期的な視線が必要なのです。全員が長期的な視線とそれぞれのメリット・デメリットがわかり、専門分野は専門家の意見をきいて参考にする。そうした議論ができる日本になれるように一人ひとりが多角的な知識をつけていきましょう。
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